妹尾 韶夫は、日本の翻訳家・探偵小説作家。創作では妹尾アキ夫名義での活動が多い。 アガサ・クリスティーの翻訳が多かった。
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妹尾 韶夫(せのお あきお、1892年(明治25年)3月4日 ‐ 1962年(昭和37年)4月19日)は、日本の翻訳家・探偵小説作家。創作では妹尾アキ夫名義での活動が多い。
岡山県津山市生まれ。早稲田大学英文科卒業後、1922年(大正11年)頃から雑誌『新青年』等で英米中心の探偵小説の翻訳を手がける。アガサ・クリスティーの翻訳が特に多かった。
1925年(大正14年)以降はアキ夫名義で創作も手がけ、30-40作ほどの短編を発表している。
また、『新青年』で月評を担当していた胡鉄梅、『宝石』で月評を担当していた小原俊一は、共に妹尾の変名だといわれている。
本文内容見本
3 凍るアラベスク
妹尾韶夫
一
風の寒い黄昏《たそがれ》だった。勝子《かつこ》は有楽町駅の高い石段を降りると、三十近い職業婦人の落着いた足どりで、自動車の込合った中を通り抜けて、銀座の方へ急いだ。
勝子は東京郊外に住んではいても、銀座へは一年に一度か二度しか来なかった。郊外の下宿から、毎日体操教師として近くの小さい女学校に通うほかには、滅多に外に出たことがなかった。
やや茶色がかった皮膚には健康らしい艶《つや》があって、体全体の格好がよくて背の高い彼女は、誰が見てもどちらかと云えば美人に違いなかったが、それでもまだ家庭と云うことを考えたことはなかった。それには別に変った理由があるわけではない。ただ彼女は結婚と云うものを、そんなに楽しいものと思わないまでである。世の中の大部分の人は、みないいかげんな結婚をして、とにかく表面だけは楽しげに見えても、立入ってみればそれぞれ不幸を抱いている。それより冷徹した冬の大空を昇る月のように――この月に自分を例える時には彼女はいつも涙ぐましいほど浄化された気持になれた――自由に純潔でありたいと思った。彼女は淋しいのが好きだった。それに彼女には仕事と云うものがある。彼女は満身の愛を生徒たちに捧げた。また実際それらの生徒たちは、愛さずにいられぬほど可愛らしかった。小さい学校が彼女の世界の総てであった。毎日の生徒の世話、運動会、試験、校友会、遠足、父兄会、対校競技、修学旅行、講習、それに自分自身の修養、女教師の生活もなかなか忙しいのである。だから散歩がてらに銀座へ買物に来るようなことは彼女にとって珍らしい出来事だった。
勝子は数寄屋《すきや》橋を渡ると、五六台続いて横切る自動車を立止って待って、それから電車道を通り抜けて、滑らかな人道の上を静に銀座の方へ歩き始めた。
すると向うから、黒い外套に灰色の絹の襟巻をした一人の紳士が来て、じろじろ彼女を見ながら通りすぎたのであるが、その男の細長い顔は血の気がなくて紙のように白く、濃い眉の下の鋭い眼には気味悪いほどの光があって、美しいと云うよりはむしろストライキングなその顔立から、彼女は瞬間ではあったが妙な印象を受けたのであった。
まだ明るいのに華やかな銀座の店々には電燈がついて、そぞろ歩く人々の顔も何となく晴やかであった。
代表作品
歌う白骨
オスカー・ブロズキー事件
凍るアラベスク
第三者
マカーガー峡谷の秘密
予謀殺人
名作速読朗読文庫vol.596妹尾 アキ夫全集読上機能付きProfessional版
vol 件数 作家名 タイトル カテゴリー/文字数
596 1 妹尾 アキ夫 歌う白骨 小説 29236
596 2 妹尾 アキ夫 オスカー・ブロズキー事件 小説 38491
596 3 妹尾 アキ夫 凍るアラベスク 小説 10500
596 4 妹尾 アキ夫 第三者 小説 4311
596 5 妹尾 アキ夫 マカーガー峡谷の秘密 小説 6873
596 6 妹尾 アキ夫 予謀殺人 小説 35890筆 9305
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