小川 未明 は、小説家・児童文学作家 「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、「児童文学界の三種の神器」と評された
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小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 - 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。
「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで
「児童文学界の三種の神器」と評された。娘の岡上鈴江も児童文学者。
。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された。
本文内容見本
10 春さきの古物店
小川未明
広《ひろ》やかな通《とお》りには、日《ひ》の光《ひかり》が暖《あたた》かそうにあたっていました。この道《みち》に面《めん》して、両側《りょうがわ》には、いろいろの店《みせ》が並《なら》んでいました。ちょうどその四《よ》つ辻《つじ》のところに、一 軒《けん》の古道具《ふるどうぐ》をあきなっている店《みせ》がありました。そこに、各種《かくしゅ》の道具類《どうぐるい》が置《お》かれてある有《あ》り様《さま》は、さながら、みんなは、いままで働《はたら》いていたけれど、不用《ふよう》になったので、しばらく骨休《ほねやす》みをしているというようなようすでありました。
どんなものが、そこにあったかというのに、まず壁《かべ》ぎわには、張《は》り板《いた》が立《た》てかけられてあり、その下《した》のところに、乳母車《うばぐるま》が置《お》いてあり、その横《よこ》に机《つくえ》があり、その他《た》、火《ひ》ばち・針箱《はりばこ》・瓶《びん》というように、いろいろな道具類《どうぐるい》が並《なら》べられてありました。
しかし、張《は》り板《いた》と乳母車《うばぐるま》と机《つくえ》とが、いちばんたがいに距離《きょり》が近《ちか》かったものだから、話《はなし》もし、また親《した》しくもしていました。彼《かれ》らは、このごろは仕事《しごと》もないし、ただ空想《くうそう》にふけったり、昔《むかし》のことを思《おも》い出《だ》したりしているよりほかはなかったのであります。
そのなかでも乳母車《うばぐるま》は、ちょうど腰《こし》の曲《ま》がったおばあさんのように、愚痴《ぐち》ばかりいっているのでした。
「まだ、あなたは、その年《とし》でもないのに、なぜそう愚痴《ぐち》ばかりおっしゃるのですか。また、これから世《よ》の中《なか》へ出《で》て、どんなおもしろいめをしないともかぎりますまいに――。」と、机《つくえ》はよく、乳母車《うばぐるま》に向《む》かっていったことがあります。
すると、青《あお》いペンキのところどころはげ落《お》ちた乳母車《うばぐるま》は、急《きゅう》に、元気《げんき》づいた調子《ちょうし》になって、
「ほんとうに考《かんが》えればそうなんですよ。けれど、こうして、じっとしていますと、つい気《き》がめいりまして、しかたがないもんですから――。」と、乳母車《うばぐるま》は答《こた》えました。
代表作品
はてしなき世界
葉と幹
花とあかり
春風遍し
春さきの古物店
春になる前夜
春の日
日がさとちょう
ぴかぴかする夜
左ぎっちょの正ちゃん
びっこのお馬
名作速読朗読文庫vol.540小川 未明全集14読上機能付きProfessional版
名作VOL 件数 作家 作品名 カテゴリー/文字数/文字量
540 1 小川 未明 はちの巣 小説 5516 中
540 2 小川 未明 はつゆめ 小説 2331 小
540 3 小川 未明 はてしなき世界 小説 6803 大
540 4 小川 未明 葉と幹 小説 2464 小
540 5 小川 未明 花とあかり 小説 1222 小
540 6 小川 未明 花と人の話 小説 5549 中
540 7 小川 未明 母犬 小説 2533 小
540 8 小川 未明 春がくる前 小説 3574 中
540 9 小川 未明 春風遍し 小説 1708 小
540 10 小川 未明 春さきの古物店 小説 5860 中
540 11 小川 未明 春になる前夜 小説 6173 大
540 12 小川 未明 春の日 小説 2962 小
540 13 小川 未明 反キリスト教運動 随筆 2108 小
540 14 小川 未明 日がさとちょう 小説 5728 中
540 15 小川 未明 ぴかぴかする夜 小説 3419 中
540 16 小川 未明 左ぎっちょの正ちゃん 小説 3954 中
540 17 小川 未明 びっこのお馬 小説 5779 中
540 18 小川 未明 百姓の夢 小説 11633 大
540 19 小川 未明 火を点ず 随筆 6842 大
540 20 小川 未明 貧乏線に終始して随筆 2422 小
合計冊数 20 合計文字数 88580
名作速読朗読文庫とは
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