小川 未明 は、小説家・児童文学作家 「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、 「児童文学界の三種の神器」と評された。
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小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 - 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。
「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで
「児童文学界の三種の神器」と評された。娘の岡上鈴江も児童文学者。
。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された。
本文内容見本
5 塩を載せた船
小川未明
赤《あか》ん坊《ぼう》をおぶった、男《おとこ》の乞食《こじき》が町《まち》へはいってきました。その男《おとこ》は、まだそんなに年《とし》をとったというほどではありませんでした。
男《おとこ》の乞食《こじき》は、りっぱな構《かま》えをした家《うち》の前《まえ》へきますと、立《た》ち止《ど》まって、考《かんが》え込《こ》みました。それから、おそるおそる門《もん》の中《なか》へ入《はい》ってゆきました。
「どうか、なにかやってくださいまし。」と、声《こえ》をふるわせて頼《たの》みました。
しかし、家《うち》の中《なか》では、その小《ちい》さい声《こえ》が聞《き》こえなかったものか、返事《へんじ》がありませんでした。
乞食《こじき》は、つぎには、もっと大《おお》きな声《こえ》を出《だ》していいました。
「なにか、この哀《あわ》れな子供《こども》にやってくださいまし。」といいました。すると、家《うち》の中《なか》から、声《こえ》ばかりで、だれも、顔《かお》を出《だ》さずに、
「なにも、やるようなものはない!」と、しかるように答《こた》えました。
その日《ひ》は、どういうものか、乞食《こじき》は、何家《どこ》へいきましても、同《おな》じようなことをいって断《ことわ》られました。
「こんなに、りっぱな、大《おお》きな家《うち》に住《す》んでいながら、くれるようなものがないとは、不思議《ふしぎ》なことだ。」と、乞食《こじき》は、つくづく思《おも》わずにはいられませんでした。
脊中《せなか》におぶさっている赤《あか》ん坊《ぼう》が、腹《はら》が減《へ》ったので泣《な》き出《だ》しました。乞食《こじき》は、どうしたらいいか、ほんとうに困《こま》ってしまいました。
太陽《たいよう》は、やがて西《にし》に傾《かたむ》きかかっています。その日《ひ》の光《ひかり》をながめて、ぼんやりと思案《しあん》にふけっていますと、太陽《たいよう》は、にこやかな円《まる》い顔《かお》をして、
「いつまでも、こんな人情《にんじょう》のない町《まち》にいたのではしかたがない。早《はや》く、日《ひ》の暮《く》れないうちに、ほかの町《まち》へいったほうがいい。」と、諭《さと》しているように思《おも》われました。
男《おとこ》の乞食《こじき》は、自分《じぶん》たちに、不人情《ふにんじょう》であった町《まち》をうらめしそうに、幾《いく》たびも見《み》かえりながら、疲《つか》れた足《あし》をひきずって、とぼとぼと、また遠《とお》い道《みち》を歩《ある》いて、ほかの町《まち》をさしていったのであります。
それから三日《みっか》ばかりたちました
代表作品
三匹のあり
塩を載せた船
事実と感想
時代・児童・作品
児童の解放擁護
詩の精神は移動す
島の暮れ方の話
自由なる空想
純情主義を想う
正ちゃんとおかいこ
少年と秋の日
少年の日の悲哀
初夏の不思議
名作速読朗読文庫vol.535小川 未明全集9読上機能付きProfessional版
名作VOL 件数 作家 作品名 カテゴリー/文字数/文字量
535 1 小川 未明 さびしいお母さん 小説 2515 小
535 2 小川 未明 三月の空の下 小説 4858 中
535 3 小川 未明 三人と 二つの りんご 小説 678 小
535 4 小川 未明 三匹のあり 小説 2725 小
535 5 小川 未明 塩を載せた船 小説 9333 大
535 6 小川 未明 事実と感想 随筆 1893 小
535 7 小川 未明 時代・児童・作品 小説 3890 中
535 8 小川 未明 児童の解放擁護 随筆 1647 小
535 9 小川 未明 詩の精神は移動す 随筆 2001 小
535 10 小川 未明 渋温泉の秋 随筆 2788 小
535 11 小川 未明 自分で困った百姓 小説 2348 小
535 12 小川 未明 自分を鞭打つ感激より 随筆 2277 小
535 13 小川 未明 島の暮れ方の話 随筆 3446 中
535 14 小川 未明 しゃしんやさん 小説 832 小
535 15 小川 未明 自由なる空想 随筆 1449 小
535 16 小川 未明 純情主義を想う 随筆 2233 小
535 17 小川 未明 正ちゃんとおかいこ 小説 3247 中
535 18 小川 未明 少年と秋の日 小説 4159 中
535 19 小川 未明 少年の日の悲哀 小説 6319 大
535 20 小川 未明 初夏の不思議 随筆 5464 中
合計冊数 20 合計文字数 64102
名作速読朗読文庫とは
名作速読朗読文庫は、読書の喜びを多くの人に知って戴くための 聞いても読んでも楽しめる文庫です
視覚障害者の方もご利用できる音声でも聞こえるシステムが附属しています
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読みは 機械による自動読みです 読みに誤りがある場合はご連絡をいただけば、可能な限り、修正いたします
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