泉 鏡花は、昭和初期にかけて活躍した日本の小説家である。戯曲や俳句も手がけた。 江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで知られる。
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泉 鏡花（いずみ きょうか、1873年（明治6年）11月4日 - 1939年（昭和14年）9月7日）は、日本の小説家である。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。
小説の他に戯曲や俳句も手がけた。金沢市下新町生れ。尾崎紅葉に師事した。夜行巡査、外科室で評価を得、高野聖で人気作家になる。江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで
知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。
代表作品
婦系図
外科室
春昼
天守物語
夜行巡査
黒猫
本文内容見本
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婦系図 泉鏡花
一
素顔に口紅で美《うつくし》いから、その色に紛《まが》うけれども、可愛い音《ね》は、唇が鳴るのではない。お蔦《つた》は、皓歯《しらは》に酸漿《ほおずき》を含んでいる。――
「早瀬の細君《レコ》はちょうど（二十《はたち》）と見えるが三だとサ、その年紀《とし》で酸漿を鳴らすんだもの、大概素性も知れたもんだ、」と四辺《あたり》近所は官員《つとめにん》の多い、屋敷町の夫人《おくさま》連が風説《うわさ》をする。
すでに昨夜《ゆうべ》も、神楽坂の縁日に、桜草を買ったついでに、可《い》いのを撰《よ》って、昼夜帯の間に挟んで帰った酸漿を、隣家《となり》の娘――女学生に、一ツ上げましょう、と言って、そんな野蛮なものは要らないわ！ と刎《は》ねられて、利いた風な、と口惜《くやし》がった。
面当《つらあ》てというでもあるまい。あたかもその隣家《となり》の娘の居間と、垣一ツ隔てたこの台所、腰障子の際に、懐手で佇《たたず》んで、何だか所在なさそうに、しきりに酸漿を鳴らしていたが、ふと銀杏返《いちょうがえ》しのほつれた鬢《びん》を傾けて、目をぱっちりと開けて何かを聞澄ますようにした。
コロコロコロコロ、クウクウコロコロと声がする。唇の鳴るのに連れて。
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名作速読朗読文庫vol.348 泉 鏡花全集1 読上機能付Professional版
NO VOL 件数 選択 作家名 タイトル カテゴリー 文字数 文字量
1 348 1 日本文学 泉 鏡花 悪獣篇 小説 45388 大
2 348 2 日本文学 泉 鏡花 霰ふる 小説 11149 大
3 348 3 日本文学 泉 鏡花 活人形 小説 562553 大
4 348 4 日本文学 泉 鏡花 伊勢之巻 小説 22795 大
5 348 5 日本文学 泉 鏡花 一景話題 小説 6367 大
6 348 6 日本文学 泉 鏡花 薄紅梅 小説 71985 大
7 348 7 日本文学 泉 鏡花 歌行灯 小説 44842 大
8 348 8 日本文学 泉 鏡花 唄立山心中一曲 小説 37070 大
9 348 9 日本文学 泉 鏡花 海の使者 小説 6714 大
10 348 10 日本文学 泉 鏡花 瓜の涙 小説 13241 大
11 348 11 日本文学 泉 鏡花 絵本の春 小説 7845 大
12 348 12 日本文学 泉 鏡花 縁結び 小説 21734 大
13 348 13 日本文学 泉 鏡花 幼い頃の記憶 小説 2392 小
14 348 14 日本文学 泉 鏡花 おばけずきのいわれ 51345 大
15 348 15 日本文学 泉 鏡花 女客 小説 9457 大
16 348 16 日本文学 泉 鏡花 婦系図 小説 204344 大
17 348 17 日本文学 泉 鏡花 怨霊借用 小説 22592 大
18 348 18 日本文学 泉 鏡花 海異記 小説 22481 大
19 348 19 日本文学 泉 鏡花 海城発電 小説 14391 大
20 348 20 日本文学 泉 鏡花 海神別荘 小説 27850 大
冊数合計 20冊 文字数合計 1206535
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